共食いキャラクター


 
 その確固たるブランド力を誇る鹿児島の黒豚。しかも天然温泉水育ち。って、それが何なのかはまったく知りませんが。
 
 その優秀な仲間を食えと勧めるのが、このブタさんだ。あろうことか、ウインクで舌なめずり。とても育ちがよいとは思えないアクションだが、これもやらされているのだろう。哀れなり、黒豚共食いキャラ。
 
 というか、その舌はどこから生えているのか。おまえ、ほんとにブタか!?


 
 のれんに染め抜かれたブタさん。シンプルに仕上げた描写はなかなか上手い。うまいが、そういうところに感心してはいけない。共食いキャラなのだから。
 
 気になるのは手足の描写がないこと。これをアイコン化されたシンプルな表現ゆえと見るか、あるいは首から下をすっぱりと…
 
 いやいや、言うまい。


 
 なぜ、上目遣い。というか、この80年代的なタッチはどうなのか。なんかリボンしてるし。
 
 往年のファンシーグッズ風でありながら、「どて焼」「かす汁」。意外性、ここにきわまれり。


 
 嗚呼、これはかわいそう。なにがかわいそうって、たぶんこのブタさんは自分が店頭でなにをやらされているのか分かっていない点である。この天真爛漫な表情。しかもボディにカラフルに「とんかつ」の文字。
 
 「あのー、どういうアルバイトなんでしょう」
 「ああ、きみは店の前でにっこりしていればいいから」
 「それだけでいいんですか?」
 「あ、あとちょっと体に描かせてもらうけど」
 「あのー、ところでここって何のお店なんですか?」
 「きみは、そういうことは気にしなくていいから」
 「はあ」

 あー!かわいそう!しかし、食材にならなかっただけまだマシか。いや、明日にでもそうなってしまうかもしれない。

 「どうだね、仕事にはもう慣れたかね?」
 「ええ!おかげさまで」
 「じゃあ、来週からは別の仕事にまわってもらおうかな」
 「わかりました!」
 「(そろそろつぎの募集をしなくちゃな…)」

 あー!かわいそう!

 共食いキャラ収集をしていると、こういうストーリーが浮かぶようになってくるのだ。店頭で涙ぐまないように気をつけたい。



 立体である。

 しかも招き猫スタイルという浮かれっぷり。その出で立ちからして板前さんのようだ。小脇には豚肉の消化を良くするともっぱらの噂のキャベツ。

 しかしよく見ると、なんだか目が死んでいる。仲間を食えと勧めることのストレスが彼をこうしてしまったのだろうか。じっと見ていると悲しみが襲ってくる共食いキャラである。こんなものじっと見つめているのはぼくぐらいのものでしょうが。


 
 これも非常に共食いキャラらしい出来映え。まずその描写能力の稚拙さが際だつ。共食いキャラには、なぜかこういうヘタクソな絵が多いのだ。ただでさえおぞましい共食いキャラが、そのうかつな画風と相まってさらにこわい感じに。

 まずもってその右手はどこから生えているのか。というか、左手が短すぎないか。いやいや、それより前にそのフライパンの中身はなに?だいたいなぜ黄色い?

 つっこみどころ満載だが、満載過ぎて突っ込んだら負けという気がする。妙な首の長さとにんまりとした笑顔が憎らしい、珠玉の共食いキャラである。
 
 


 
 このブタさんは個人的に思い入れのある共食いキャラである。ぼくが意識的に共食いキャラを収集しはじめたきっかけとなったのが彼なのだ。彼だか彼女だかは不明だが。

 帽子からしてコック長らしきブタ。陣頭指揮をとり、仲間の肉をさっくりジューシーに揚げていく。あまつさえナイフとフォークを手に食べる気まんまん。「山道」という名前は、その生きる険しさを表現したものか。

 シンプルなタッチで共食いキャラらしさを存分に表現した名作。ことさら鼻だけピンク色にした点も心憎い。

 ぼくの通っていた幼稚園のそばにいる共食いキャラである。思えばこれを見て育ったから、ぼくはこうなったのか。

マルコポーロは『東方見聞録』の中で「日本人は人食い人種だ」という趣旨のことを記しているそうだ。

現代日本に人間を食べる習慣はない。しかし、みなさんは気付いておられるだろうか、日本には共食いする動物たちがたくさんいることを。トンカツ屋の看板でコックさんの帽子をかぶった豚が「おいしいヨ!」とか言っている、あれだ。

以前中国へ行ったときに共食いキャラを探したことがあるが、驚いたことにほとんどその生息が確認できなかった。あの食の大国をして、このありさまである。ありさま、ってまあいなくていいんですが。

一方、韓国にはたくさんいた。つまりこれはキャラクター文化の成熟具合によるのではないかと予想される。

つまり重要な日本文化のひとつである、街にあふれるこの「共食いキャラクター」。彼らに同情しつつ、ときにはその態度に憤り、愛でていきたい。皆さんのまわりに共食いキャラがいたら、ぜひ感想と共にメールをお送りください。

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