共食いキャラクター


 
 「焼トン」の看板キャラとしてのその呪われた運命を知ってか悲しみの表情。同情を禁じ得ない。悲しそうな顔をした食材キャラを店頭に据えることが集客につながるのかどうか疑問だ。

 追い打ちをかけるように「備長炭使用」との具体的な調理方法を明示。残酷だ。

 その愁いに満ちた表情に胸を痛ませながらもおなかはいっぱい。おいしかったです。ごちそうさま。


 
 とんかつやの看板娘はボディに墨痕鮮やかな店名。

 そのいでたちはコックでもなく、限りなく食材としての描写に近いキャラ設定。厳密には「共食い」ではないかもしれない。しかし、とんかつやがぶたさんをキャラとすることの違和感は同じだ。

 「え?何か書いてある?」とでも言いたそうな表情は、いたずらで背中に「バカ」とか書かれた紙を貼られたいじめられっこを髣髴とさせる。気の毒。同系統のものはこれ。ボディにうっかり店名を書かれてしまうのは、ブタ共食いキャラならではなのかもしれない。

 ひさびさに救ってあげたい、と思わせるキャラクター。でもとんかつ美味しいよね。


 
 共食いキャラの定番とも言うべき、コック豚。

 ふてぶてしい表情となぞの衣装。いわゆるハダカエプロンである。もはや仲間をさばくのに何の罪悪感も感じていないのだろう。にくたらしい。

 とくにとんかつ屋方面でお目にかかれるこのコック豚だが、今回彼がお勧めしているのはなんと海老フライ定食。体制に飼いならされた豚野郎かと思ったが、案外こうやって彼なりに仲間を助けているのかもしれない。すまなかった、豚。


 
 ラーメンを料理するのも食すのも、ぶた。とんこつベースにチャーシューをトッピング。そのおいしさにみんなに笑顔がこぼれる。その数あわせて11匹。これまでにない規模で迫り来る共食いキャラの物量作戦だ。

 この看板には店の名前もなにもなく、純粋に共食いだけを訴求した作品となっている。見つけたのは、北海道は旭川の繁華街。北の大地ならではの大らかな共食いキャラ作品といえるだろう。

 


 
 いかにも、共食い。少ない色数と最小限の曲線パターンで共食い世界を描ききった名作は、繁華街のラーメン屋にあった。

 自分の仲間の骨髄から染み出したおいしいスープを破顔一笑で舌なめずり。

 目下の問題は、舌だと思っているものが本当に舌なのかどうか。共食いキャラは低い技量でもって描かれることが多いが、共食いの事実と相まってよく見ると不気味に感じられる。まあ、こんなもの「よく見る」人はそういないわけですが。


 
 神田ぱんさんから通報のあった共食いキャラ。肉屋の看板だそうだ。

 目を覆わんばかりの惨劇。そういえば共食いだよな、と自覚的になった作者が行き着いた結論がこれ。確かに正しい結論だ。だが、正論はときに人を幸せにしない。

 知りたくなかった共食いの極北。共食いキャラを前に、人は何を得、そして何を失うのか。


 
 こちらも投稿いただきました。描写のタッチに似合わず、豚骨ラーメン店の共食いキャラとのこと。確かに読みづらいが、上部にそのような店であることが示されている。それにしても"Kotsuzui Ramen"(骨髄ラーメン)て。

 バタ臭い共食いキャラは羽まで装備。共食いのくせにスカしやがって、とののしりそうになったが、もしかしてこれは昇天後の姿なのか。

 その共食いアピールを糾弾すればよいのか、同情すべきなのか複雑な気持ちにさせられる。いずれにせよ豚骨ラーメンを食べる前にさせられてよい心理状況ではないと思う。



 ぼくの大好きなサイトAqua_val3のyumiさんから報告があったのがこちらの共食いブタ。ありがとう。

 彼女の報告は

「リアルなのかメルヘンなのか判然としないので見ていて不安な気持ちになります。

よく見ると「とんかつ」の「つ」にしっぽが生えているので『とんかつ』の文字で豚をかたどっているのかと思ったのですが、どこをどう見れば豚の形になるのか私には分かりませんでした。

焦点をぼかせば見えるやつかもしれません」


 というもの。あれか。交差法とかか。

 たしかに「ただのヘタクソ」というにはあまりに味のありすぎるその描写に、どこかに何かのメッセージが隠されているのでは、とあれこれひっくり返したりしてみたくなる共食いキャラ。見るものを不安にさせる共食いキャラの心理戦。 こんなのは初めてだ。

 共食いキャラクター界のダヴィンチコードと呼びたい。読んでないけど、ダヴィンチコード。



 ポップなタッチとカラーリングに騙されて、今日も共食い街道まっしぐらかと思いきや、ふとレーゾンデートルを振り返ったブタさん。頭上には「俺、これでいいんだっけ?」とハテナマークが浮かんでいる。

 しゃぶしゃぶ屋である店側の、共食いキャラを描いてしまうことへの躊躇がうかがえる希有な事例。店主の良心に拍手を送りたい。

 しかしよく見ると下の文字が「Buda」になっており、もしかしてこれに対する「?」なのかもしれない。「このローマ字であってるんだっけ?」と。そっちか。

 打ちかけた拍手、今回は見送りたい。予断を許さない状況だ。


 
 韓国料理屋さんにブタの共食いキャラクターはつきものである。その出現率の高さはタコ焼き屋といい勝負だ。さすが日本と並ぶキャラクター大国である。
 
 さて、この共食いキャラ、耳の色、鼻と目のデフォルメ、ボディの略され具合といい、かなりの手練れによるものと見た。が、ちょっと怖い。客引きというより、なんかすごんでいるように見える。やはり、ほんとうは仲間を食って欲しくないのか。店頭に置けるささやかな抵抗か。おまえ、いいやつだな。
 
 とおもいきや、その口元に。それは、なに。

 デフォルメが過ぎた舌の表現と思いたい。仲間を食したあとの血の滴りではないだろうな。

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