なぜこんなにふつうの表情なのか。お銚子とおちょこを運ぶその背後に、まるで亡霊のように仲間の肉が刺さった串が舞っている。

ウェイターをつとめるトリさん。たぶん自分がなにを運ばされているのか分かっていないのだろう。串に刺さった肉片がまさか仲間のものだとは。まあ、あの状態だと何の肉かなんて分からないよね。

「あのー、マスター…」
「あー!厨房入ってきちゃダメって言ってるでしょ!」
「すみません。でも…」
「いいからいいから!あっちいってて!」
「…」

たぶん、マスターもこんなふうに串に刺されるまえのトリ然とした肉塊を彼に見せまいと必死なのだろうと思う。マスター、けっこういいやつ。ほんとか。